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  • イカロスの墜落 | パブロ・ピカソ | 新潮社 | 1974

    イカロスの墜落 | パブロ・ピカソ | 新潮社 | 1974

    ¥ 3,600

    SOLD OUT

    『イカロスの墜落(正式には悪にうちかつ生命力と精神力』は、パリのユネスコ本部の大ホールを飾るピカソ壁画。 この本は、ピカソがこの壁画のための最初のデッサンを描きはじめた1957年12月6日から、1958年1月29日に完成した最後の下描きまでの間の、数々のデッサンが美術評論家ガエタン・ピコンの解説とともに掲載された「イメージ・ドキュメント」だ。 巻末に、このガエタン・ピコンのテキストを翻訳した岡本太郎の跋文が載せられていて、その見事な文章はこんな文で結ばれている。 「やっぱり、彼の存在は美しかったと思う」

    SOLD OUT
  • 旅の仲間 澁澤龍彦/堀内誠一往復書簡 | 巌谷國士編 | 晶文社 | 2008

    旅の仲間 澁澤龍彦/堀内誠一往復書簡 | 巌谷國士編 | 晶文社 | 2008

    ¥ 3,200

    まずはこの本の刊行、それも晶文社からの発行を寿ぐ。 澁澤龍彦はいわずと知れた碩学の文筆家、そして日本の雑誌文化を変えたといわれるAD堀内誠一。 1987年に同じように下咽頭癌に冒され亡くなった二人の遺作ともいえる往復書簡を、巌谷國士さんが愛情をこめて丁寧に編集し、詳細な注釈をつけてくれている。 2007年の中京大学アートギャラリーでの展覧会開催を経て、本書の刊行につながったのはこの人の力が大きかったんじゃないかと想像する。 この本の体裁とそのデザインは、二人の天才を惜しむにふさわしい出来映えです。

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  • ブックストア | リン・ティルマン | 晶文社 | 2003

    ブックストア | リン・ティルマン | 晶文社 | 2003

    ¥ 1,200

    SOLD OUT

    "The Life and Times of Jeannette Watson and Books & Co. " ニューヨークのアッパー・イーストサイドで、78年から97年まで活動を続けたブックストアとその店主ジャネット・ワトソンの物語。 『ニューヨークで最も愛された書店』という副題、そして「ポール・オースター、スーザン・ソンタグ、ウディ・アレンに愛されたとびきり個性的な書店の物語」という帯文、さらにその本の背表紙に犀のマークがついていたら、やはり買わずにはいられない。 この本に序文も寄せているウディ・アレンの散歩の最終目的地であり、彼が「この書店には本物の文化と呼べるだけの何かが存在していた」という本屋の物語が、面白くないわけがない。 「気にいった本屋があるかどうかが、その街に誇りがもてるかどうかの分水嶺なのだ(by Seigow.M)」

    SOLD OUT
  • 東京のドン・キホーテ | 小林信彦 | 晶文社 | 1976

    東京のドン・キホーテ | 小林信彦 | 晶文社 | 1976

    ¥ 8,800

    ロビンソン・クルーソー → ドン・キホーテ → エルヴィス と続く小林さんの一連の雑文集は、「ワンダー植草・甚一ランド」から始まった、晶文社の「ヴァラエティブック」の代表作だろう。 この「ドン・キホーテ」のジャケットには、今では嫌煙者として名高い小林さんが、本牧にあった米軍基地の映画館の前で、煙草をふかす珍しい姿が映っている。 この頃は煙草をすっていたんだな。 「<バカなことをマジメにやろう>というのがこの時期(1960年代)の私の一種、倒錯した理想主義であって・・。」 見えない風車に立ち向かった「ドン・キホーテ」というタイトルにその当時の小林さんの」ジリジリした気持ちがよく現れている。

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  • ひべるにあ島紀行 | 富岡多恵子 | 講談社 | 1997

    ひべるにあ島紀行 | 富岡多恵子 | 講談社 | 1997

    ¥ 1,200

    紀行と名づけられてはいるけれど、幻想と現実が交錯して織りなされるこの物語は、富岡多恵子的な神話とでもいうべき作品だろう。 『ガリヴァー旅行記』の作者スイフトをめぐるノンフィクショナルな考察が作品全体の縦糸となり、その綾に導かれるように、冬の国「ひべるにあ=アイルランド」を訪れる「わたし」の旅。 現実とも空想ともつかない様々な人々が交錯し、時空を超えるこの幻想の旅が、どこから始まりどこで終わったのか、すべてを読み終えても少しも確信が持てないけれど、荒涼として、それでいてどこか懐かしい「ひべるにあ」の光景だけは、くっきりと心に残る。 結局それこそが、彼女が伝えたかったことの本質なのかもしれない。

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  • 雷鳴の頸飾りー瀧口修造に | 書肆山田 | 1979 

    雷鳴の頸飾りー瀧口修造に | 書肆山田 | 1979 

    ¥ 3,000

    日本のシュルレアリスムを代表する詩人/美術評論家の追悼詩集。 デザイン、タイトル、そしてその詩のクオリティなど完成度の高い佳本ですが、中でも巻頭の故人の名前を織りこんで描いたミロの作品は秀逸。 他にも、武満徹の追悼曲の楽譜や、吉岡実・入澤康夫・天沢退二郎といった現代詩壇の人たちの献詩には故人へのリスペクトに溢れていて、こんな追悼集をだしてもらえる詩人は幸せだと思います。

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  • 高丘親王航海記 | 澁澤龍彦 | 文藝春秋 | 1989

    高丘親王航海記 | 澁澤龍彦 | 文藝春秋 | 1989

    ¥ 900

    遺作。 広州から天竺までの幻想のロード・ファンタジー(綺譚)、もちろん澁澤龍彦なんだから、エロスや耽美や怪奇は横溢していて、造本は美しく、収められている文章は華麗である。 時空を越えて、さまざまな不思議の旅をする童子のように天真爛漫な高丘親王、大粒の真珠を呑み込んで喉の痛みに苦しみ、声が出なくなてしまう高丘親王は、きっと死へ向かう病床にある澁澤さんの、分身でもあったのだろう。 夢と現実のあわいを行き来することこそが、旅の醍醐味なのだ。

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  • ラディカルな意志のスタイル  | スーザン・ソンタグ | 晶文社 | 1974

    ラディカルな意志のスタイル | スーザン・ソンタグ | 晶文社 | 1974

    ¥ 1,500

    SOLD OUT

    才色兼備という言葉が世界一似合うスーザン・ソンタグの代表作。 " STYLES OF RADICAL WILL " まず何よりタイトルが、シブイ。 内容や主題ではなく、様式や形式(=スタイル)こそが、表現者の根源的(ラディカル)な意志を、端的に表すものだということを、この時36歳だったニューヨーカーは、易々と見抜いている。 スタイルを語るスタイル。 ディランやゴダールや光琳やマチスを読み解く眼は、その作品にではなく、スタイルに向けられているというのは、やはり慧眼だ。 わかり易いことをわかり難く表現するのもひとつのスタイルなのだ。

    SOLD OUT
  • ANNIE LEIBOVITZ 1995 | 展覧会図録 | 日本テレビ放送網 | 1995

    ANNIE LEIBOVITZ 1995 | 展覧会図録 | 日本テレビ放送網 | 1995

    ¥ 2,000

    スーザン・ソンタグの恋人。 表紙は、アニーのキャリアのきっかけとなったジョンとヨーコ。 黒いセーターとジーンズを着たヨーコに全裸でしがみつくジョンの写真は、彼が暗殺される数時間前のものだという。 レンズの向こうにある気高い魂を感じさせるポートレイトたち。 その視線の強靭。

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  • (un) FASHION | Tibor Kalman | Harry N. Abrams | 2005

    (un) FASHION | Tibor Kalman | Harry N. Abrams | 2005

    ¥ 2,396

    SOLD OUT

    ただのUNではなく、(un)をタイトルにしたところに、デザイナーとしてのTibor Kalman(ベネトンの雑誌"Colors"の編集長、トーキング・ヘッズの"Remain in Light"や"Naked"のジャケットデザインなど)の想いが表れているようだ。 そのデザイナーの眼がとらえた、世界中の人たちの服飾の姿。 服飾のまえにまず人があるのだという思想。 この前にあげたエチオピアの女性たちと同じように、世界にはいろいろな人たちがいて、それをファッションと意識することなく衣装を身に着け、なんらかの意図をもって身を飾る。 すべての人間は裸で生まれてくるはずなのに、着飾るという情熱や、その民族的な美意識はどこから降りてくるものなのか。

    SOLD OUT
  • Natural Fashion | Hans Silvester | Thomas & Hudson | 2009

    Natural Fashion | Hans Silvester | Thomas & Hudson | 2009

    ¥ 3,500

    南エチオピアのOmo Valleyというところに暮らすSurma族とMursi族のファッション、というか身体をキャンバスにしたボディアートの写真集。 アフリカの女性のエネルギーや美が、大地の恵みから生まれているということがストレートに伝わります。 ユニーク、というか唯一無二。

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  • □ BIG SUR | Jack Kerouac | Oscar Mondadori | 1998

    □ BIG SUR | Jack Kerouac | Oscar Mondadori | 1998

    ¥ 2,500

    SOLD OUT

    最近いちばん気に入っているジャケット。 ケルアックの『BIG SUR』なんだけど、イタリア版なのでまったく読めない。 BIG SURの海に向かって停まっている、たぶん60年代のキャディラック・エルドラドとビーチチェア。 一見すると写真のようだけど、よく見ると絵で、クレジットにはJohn Registerという人が描いた「PARKING LOT BY THE OCEAN (1976)」という作品の一部だとある。 70年代に流行ったハイパーリアリズムだけど、この絵だけじゃなくて、余白とのバランス、タイトルの書体、レイアウトなどどこをとっても完成度の高いデザインで、さすがデザインの国の本だと感心させられる。 勢いあまって、サンフランシスコの Chronicle Books(とても素敵な出版社です)から発行されているこの人の画集を注文してしまった。 届くのが楽しみ。

    SOLD OUT
  • アンリ・ミショー ひとのかたち | 東京国立近代美術館 編 | 平凡社 | 2007

    アンリ・ミショー ひとのかたち | 東京国立近代美術館 編 | 平凡社 | 2007

    ¥ 2,000

    「幻視者」というタイトルが、このアーティストにはふさわしい。 おそらくは、メスカリンのトリップの中から現われる怪物、亡霊、そして「ひとのかたち」あるいは何かを伝えるための文字なのか。 それは明らかに描かれたものではなく「視えた」ものに違いない。 きわめて抽象的であり、プリミティブでもある彼のドローイングを中心にして展示された2007年8月の同タイトルの展覧会の図録。ただの記録ではなく、全59点の絵画・デッサンと、詩人でもあった本人の言葉によって織り上げられた美しい詩画集でもある。 「特別な意図を持たず描いてごらん、機械的に描きなぐってごらん、紙の上にはほとんどいつも、いくつかの顔が現れる。」 すべては、ムーヴマンである。

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  • I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME (CD付き) | 奈良美智 | 淡交社 | 2001

    I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME (CD付き) | 奈良美智 | 淡交社 | 2001

    ¥ 2,000

    「忘れちゃってもいいからね」みたいなニュアンスかな。 2001年に横浜美術館で開催された国内の美術館での初めての本格的な個展の図録。 もちろんとても魅力のある絵ではあるけれど、これが「現代美術」だといわれると、なんとなくちょっと違うような気がしないでもない。 ひょっとしたら、もっといいもんじゃないんだろうか。 彼の描く子供や動物は、一目見たら忘れられない。 優しさと残酷さ、無垢と猥雑といった、誰もが持っているアンビバレントな感情や性格がその表情に内包されていて、観るものひとりひとりがそれぞれの物語を紡ぎだせるような奥行きをもっている。

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  • みじめな奇蹟/Miserable Miracle | アンリ・ミショー | 国文社 | 1969

    みじめな奇蹟/Miserable Miracle | アンリ・ミショー | 国文社 | 1969

    ¥ 2,000

    SOLD OUT

    1956年に発表された、詩人/画家アンリ・ミショーのメスカリン実験の最初の報告。 オピウム(阿片)のコクトー、LSDのハクスリー、ヘロインのバロウズ、ペヨーテのカスタネダ、コカインの平野威馬雄、アルコールの中島らもなど、麻薬文学とでもいえるようなドラッグの世界に嵌った天才たちの一群の本があって、それはどれも背筋が寒なるほどの恐ろしい話ばかりだが、ジャンキーの地獄めぐりの情景にはどこかしら甘美な匂いがあって、恐いもの見たさで、やはり目を離すことができない。 この「みじめな奇蹟」もそんな一冊だけれど、ミショーの凝視はそのどれよりも冷徹で克明、麻薬体験のない人が読めばおそらくなにがなんだかわからないだろうけど、10年5冊にわたって執拗に記されたその記録は、探求心のレベルをはるかに超えた域に達していて、彼のあの抽象的なドローイングがその世界を可視化したものだということが、よくわかる。 そのとき、視えるもの。

    SOLD OUT
  • 韃靼人ふうのきんたまのにぎりかた | 平岡正明 | 仮面社 | 1980

    韃靼人ふうのきんたまのにぎりかた | 平岡正明 | 仮面社 | 1980

    ¥ 2,800

    蘇るきんたま。 「きんたまゆえに十六年間陽の目をみなかった処女作である。」 平岡正明の評論のいちばんの特徴は、可視的なAとBから、彼方に(あるいは背後に)ある X が見えるという構造だろう。 彼は断言する。 Aを語りいきなりXのことを断言するから異境的に見えてしまうけれど、すべてのベクトルは「事実性ではなく真実性を提示することで精神を活性化させること」に向かっている。 無頼の握りどころ。

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  • Miro & Artigas Ceramiques | Jose Pierre et al | Maeght Editeur | 1974

    Miro & Artigas Ceramiques | Jose Pierre et al | Maeght Editeur | 1974

    ¥ 15,000

    成形や焼成の技術そのものはごく当たり前のものだが、造形力が際立っていて、優れたアーティストの感性は素材を選ばないということをあらためて感じさせてくれる。 表紙の太陽のような顔を見ればひと目でわかるが、とにかくミロ的としかいいようがない。 共作者のアルティガスは、ミロの陶芸の指南。 ピカソにもデュフィという共同制作者がいたように、こういう人がいないと土はカタチにならないのだ。

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  • Derek Jarman's Garden | Howard Sooley | Thames & Hudson | 1995

    Derek Jarman's Garden | Howard Sooley | Thames & Hudson | 1995

    ¥ 2,000

    ある庭の写真。 AIDSで亡くなったイギリス人の映像作家が、死の直前に行き着いた癒しが、ドーバー海峡に面したダンジェネスという小さな村にあるこの「庭」だったようだ。 庭といっても、それはいわゆるガーデニングではなく、ひとりのクリエイターに造られた風景、あるいは、ひとつの立体作品としての「庭」で、様々なオブジェや、厳選された植物たちが、さりげなくちりばめられたこの庭を見ていると、どうしても利休の庭に想いがいく。 「見立て」の庭。 庭を造ってみればよくわかるが、庭は自分を映す鏡のようなものなのだ。 この庭は、デレク・ジャーマンの祈りに満ちている。

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  • フェルメールの眼 | 赤瀬川原平 | 講談社 | 1998 

    フェルメールの眼 | 赤瀬川原平 | 講談社 | 1998 

    ¥ 1,600

    世界にわずか36点の作品しか残っていないというフェルメール。 その36点の作品ひとつひとつに附された赤瀬川さんの解説を読みながら、350年も前に描かれた「風俗画」を眺めていると、何ともいえない不思議な気分になってきて、この寡作の画家が世界中の人を魅了するのがなんとなくわかってきた。 じっくりと見たのは(印刷ですが)初めてだが、こんな柔らかい光に包まれた絵を見たことがない。 NHK的に分析すれば、いろんな原理がわかってくるのかもしれないが、そんなことが余計なことに思えるような、「リアル」や「気配」に満ちていて、たぶん本物を目の当たりにすれば、間違いなく息をのむだろう。 「神秘的な、奇跡を見るような感銘を受ける。あり得ないものがそこにあるという感じ」 「カメラができる前の『写真家』である」と、冷静で、緻密で、光学的な、その構図やレンズのような視線を実証的に分析したうえで、赤瀬川さんは、フェルメールの絵画全体の印象をこのように言っている。 「あり得ないもの」だからこそ、人を惹きつけるのだ。

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  • On Reading | Andre Kertesz | PENGUIN BOOKS | 1982

    On Reading | Andre Kertesz | PENGUIN BOOKS | 1982

    ¥ 3,200

    ブダペスト生まれの写真家アンドレ・ケルテス(1894 - 1985 ) この写真集は、希代のライカ使いが撮った「読む」人たちのスナップ。 川辺で、芝生の上で、カフェで、書店の棚の前で、電車シートで、梯子の上で、窓際で、屋上で、教会で、なにかを読んでいる人たちの姿が、まるで映画のワンシーンのように収められている。 この緻密に計算された構図のモノクロ写真を見ていると、本を読むということが、いかに平和で穏やかなことかが、よくわかる。 このPENGUIN版は、わずか64ページの小冊子のようなぺらぺらの写真集だけど、本が好きな 人にとっては、珠玉のような一冊だ。 「読む」というのは美しい行為なんだ。

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  • 偏愛的作家論 | 澁澤龍彦 | 青土社 | 1972

    偏愛的作家論 | 澁澤龍彦 | 青土社 | 1972

    ¥ 1,200

    石川淳、三島由紀夫、稲垣足穂、野坂昭如から瀧口修造、泉鏡花、花田清輝そして江戸川乱歩、久生十蘭、小栗虫太郎など、澁澤さんが偏愛するという日本の作家24人の様々が、語られている。 いつもながら、シンプルで美しい造本。 書評や月報といった雑文の寄せ集めだから、「作家論」というタイトルはやや羊頭狗肉だ、と本人は述懐しているが、どういうメディアで発表するにしても、自分の書くものに手を抜けるような人ではないはずだから、どの文章も澁澤的美学にあふれた批評として、完成されている。 いかにも真面目な文体なので、つい難しく読んでしまいそうになるけれど、じつはユーモアに溢れているのがこの人の持ち味でもある。ユーモアは、知性のひとつの表現なんだから。 「これが要するに私の好きな近代現代の作家たちで、好きでない作家については、私はもともと文章を書かないから、すべてオマージュに終始している。」 小林秀雄のいうように、作品や作家に対する愛がなければ批評なんてできるものではないし、そもそも人は、たとえそれが文章のプロであっても、好きなもの、あるいは嫌いなものについてしか語ることはできないのだ。 そして、「嫌いなもの」と「好きなもの」は、ひとりの人間の中では、ほぼ同義語と考えていい。 読んだわけではない。 ソンタグと同じように、本棚に澁澤龍彦の本があるということが、なによりも大切なことなんだ。 ひょっとしたら、そのことを「偏愛」というんだろうか。

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  • Racing Days --- Henry Horenstein --- Henry Holt & Co/1999

    Racing Days --- Henry Horenstein --- Henry Holt & Co/1999

    ¥ 7,800

    競馬と写真との至福のコラボレーション。 競馬にまつわるさまざまな光景が、競馬への想いと、緻密に計算された構図で、丁寧に写し撮られている。 競馬の写真はたくさん見ているけれど、そのほとんどがただサラブレッドの走る姿を写したものばかりで、「競馬」といういわばひとつの祝祭を、これほどリアルにしかも美しく撮った写真は見たことがない。 このフォトグラファーのことはよく知らないが、そうとうな手練であることは間違いない。 この本の最初の章にこんな一文がある。 " The best thing in the world is to win at the racetrack. The second best thing is to lose the racetrack " (この世で最高なことは競馬に勝つこと、2番目に最高なのは競馬で負けることだ。) 賭けない人には永遠にわからない競馬の悦楽。 この写真集のどのカットにも、そのかけがいのない悦楽の表情がある。

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  • Hockney in California --- デヴィッド・ホックニー展図録 --- アート・ライフ/1994

    Hockney in California --- デヴィッド・ホックニー展図録 --- アート・ライフ/1994

    ¥ 2,200

    DAVID HOCKNEY の画集を買った。 正確にいうと画集ではなく、1994年に東京・香川・福島・千葉を巡回した「Hockney in California」という展覧会の図録っていうやつで、A4変形の判型に、ホックニーが26才(1963年)でカリフォルニアに渡る前に描いた「空想のカリフォルニア」から、L.A.に定住し最近に至るまでの南カリフォルニアのいろいろをモチーフにした作品たちが、California Dreaming / Getting around / Nostalgic Returns / Another Perspective / Making A New Space という5部構成で掲載されている。 作品の中では、70年代後半に発表されたポラロイドSX-70による「プリント・コラージュ」がとても創造性にあふれたアーティスティックな試みだと思うけれど、極めつきはなんといってもプール。 この人の描くゆらゆら揺れるプールの質感にはなんともいえないポップな詩情にあふれている。  片岡義男が「紙のプールで泳ぐ」というエッセイでいっているように、砂漠の上に構築されたといってもいい南カリフォルニアの街並みに点在するスイミングプールは、その存在そのものが芸術といってもいいようなシュールな雰囲気をもっているし、あのバカみたいに抜けきったL.A.の空の下、そこかしこのアパートメントや住宅の庭できらきらと陽光を反射するスイミングプールを、茫然と眺めている英国人アーティストの姿が眼に浮かぶ。 きっとそのとき彼は、なんともいえない解放感とリアリティのない浮遊感の中で、柔らかに微笑んでいたはずだ。 カリフォルニア、とくにL.A.の日常風景をアンリアルに、そして切なく描いたこの本を、いつものように背表紙を向けてではなく、表紙が見えるように本棚に並べた。 display である。

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  • オーパ! --- 開高健 --- 集英社/1978

    オーパ! --- 開高健 --- 集英社/1978

    ¥ 1,500

    命日を追悼して。 1989年没だから奇しくも享年58、還暦という壁の大きさにあらためて身が竦む。 語彙の豊穣、緻密に練り上げられた文体。 この人の文章を読むたびに、日本語という言語の豊かさ、そして作家という人種の凄さを思い知らされる。 どういう修練をすれば、こんな文章が書けるようになるのだろうかと、やや絶望的に。 PLAYBOYに連載された開高健による釣紀行は、このアマゾン編が第一作。次々に発刊された続編群はある種のマニエリスムに陥ってしまったが、この作品は何回読み返しても、瑞々しく新鮮だ。 「いまだに土堤も、橋も、ダムもない、地上唯一の、そして最後の大河」アマゾンを目の当たりにした作家の高揚が、リアルに伝わってくる。「オーパ!」というのは、彼の心の叫びだったに違いない。 ベトナムのジャングルを経て、彼が発見した「輝ける闇」は、きっと南米のジャングルだったのだ。 彼の旅は、妻からの脱出だったと、死後に暴露されている。 旅が男のロマンだというのは、即ちそういうことなのだ。 遺作は『珠玉』。 合掌。

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